サスケが触手に絡まれる話

2.

 

 サスケがナルトを呼んだのは、彼が仙人モードの超常の感知能力で居場所を知ることができるからだ。鷹に手紙を託すことも出来なかったが、空の書筒を抱えて飛んできたというならばナルトでなくてもカカシかサクラが異常事態を察してくれるだろう。

 果たしてナルトはサスケの前に現れてくれた。何の目印もないような、木ノ葉から離れた森の中で、間違うことなくサスケを見つけてくれた。ナルトはよほど急いで来たのだろうか息を切らしている。

「サスケっ!」

 太い木の幹にもたれ掛かるようにして地面に腰を下ろしているサスケの姿を認めナルトは声を上げる。サスケは熱でもあるかのように顔を赤くして、うつろな眼差しを宙に彷徨わせていた。

「どうしたんだってばよ!」

 心配そうに眉を寄せ、近づくナルトにサスケは助けを求めるように手をゆっくりと伸ばす。ぷるぷると指先が震えている。ナルトがその手をとろうとした瞬間、突然にサスケの目に力強い光が取り戻された。息を飲む音がはっきりと聞こえる。

「来るなっ! ナルトっ!!」

 叫ばれてナルトは咄嗟に手を引っ込める。ナルトは目を見開いた。先程まで自分の手があった場所に、得体の知れない何かが、肉色をしてうねうねと蠢く生物の触手が伸びていたからだ。それは伸ばされたサスケの右腕の袖の中から生えている。ナルトを絡め捕らえようとしたのだと分かる。

 ナルトは距離をとったままサスケの様子を改めて見定めた。ナルトのことを心苦しそうに見つめる黒い瞳。座った姿勢のまま動けないようで、何かに耐えているように息が荒い。触手が伸びている指先だけでなく、全身がびくびくと震えている。

「お前っ……コレって、つまりどういうことだってばよ……?!」

「っ……現状だけ、話す……っ」

 口を開くのさえ辛そうに、サスケは息を漏らしながら説明した。

 今、サスケの身体には、異空間で遭遇した触手生物が寄生しているのだということ。身にまとう服はナルトからすればどう見ても普通のものにしか思えないが、内側はびっしりと触手が這いずり、否、それ自体が触手そのもので出来ているらしいということ。そのうえ体内に卵を産み付けられて、繁殖のための道具にされているのだと。

「身体の中って……!!」

 ナルトは顔を青くした。視線が向かうのはサスケの下腹部だ。説明が正しければその中には大量の触手の子が産み付けられ、今もなお直腸を埋め尽くしサスケを苦しめているのだという。時折サスケの吐く息に甘い喘ぎが交じるのは、現在進行形でサスケが犯されているということだ。声を殺せないほどの責めを、ここではない場所でサスケはどれだけ与えられたのだろうか。想像するだけでナルトは全身の血液が沸騰しそうだった。

「ナルト……このまま、オレを、殺せ……っ」

「殺す……?! 何で?! どうしてそんな話になんだよ!」

「身体の中までっ……こんな、ワケわからんものの好き勝手にされちまってんだぞ、オレは……っ! も、ぅ、ここに、害を及ぼさないためには……、オレごと処分するしか、ないだろうが……っ!」

 ビクンっ、とサスケの肩が跳ねる。余計なことを口走る宿主に、体内の触手が遮ろうとでもしているのだろう。「あっ、あぁっ、あぁっ」とサスケが小刻みに震えながら声を上げる。息はどんどん荒くなって、熱っぽく頬も赤みを増していく。自嘲するようにサスケは口端を吊り上げた。

「こんなっ……こと、あっ、さ、れても、もう、オレの身体は……気持ちいい、って、感じちまって……はぅ……んっ……」

 とろんととろけた黒目からまた光が失われかけていく。サスケが間違いなく快楽に飲み込まれている。その様をナルトは見せつけられる。

「だ……から……さっさと……殺して、くれ、ナルトっ……写輪眼も、輪廻眼の処理を頼めるのは、お前だけだ……お前だけ、なんだ、ナルトっ……」

 耳をすませば微かに聞こえる、クチャクチャと触手が蠢く淫猥にねばつく音。サスケの肌の上を、下までをも、今も這いずりまわって苦しめている。得体の知れぬ生き物に与えられる刺激をサスケは気持ち良いと表現さえしたが、こんなものに与えられる快楽は誇り高いサスケにとって苦痛でしかないだろう。

 ナルトの目が細まる。青い瞳がサスケを、その身体を覆う触手を睨みつける。ナルトを支配する感情は怒りだ。その感情の全てが籠められた視線を向けられて、サスケの背筋に快楽ではない悪寒がゾクゾクと駆け上ったのはいつぶりだろうか。

「こいつをお前から引き剥がせばいいってことだろ」

 低い声は有無を言わせぬ力があった。今まで無茶なことばかりを宣言し、しかしそれを実行してきてみせた男がこのうずまきナルトである。サスケは息を呑んだ。ふつふつとナルトの全身から赤みがかったオレンジ色のチャクラが立ち上っている。青い目に赤がちらつきはじめる。殺気さえ感じる九尾のチャクラ。今はもう完全にコントロール、否、九喇嘛と協力してそれを扱えるナルトがここまで溢れさせている。

「なに、を」

「いいからちょっと黙ってろ」

 九尾のチャクラに包まれたナルトがサスケに近寄る。それはチャクラの鎧でもある。触手が伸びてくるのを弾きながら、逆にオレンジ色のそれが触手のように形状を変化させてサスケに伸びてくる。

「あ……」

 袖の中で、ナルトのチャクラがピリピリとサスケの皮膚を刺激した。触手にびっしりと包まれていたはずなのに、だ。わずかな隙間からチャクラが皮膚と触手の間に入り込んでいるのだ。そしてナルトのチャクラはサスケの身体から触手を浮かせて引き剥がす。ぐちゃりとナルトは乱暴に触手を握りつぶしながらサスケの服を剥いでいく。かつてナルトとサスケが戦った時、天照の黒炎でさえそのチャクラは防いでみせたのだ。ナルトにとって造作も無いことだろう。サスケもチャクラが残っていれば、この生物に対抗できたに違いない。この未知の存在は、自分に力がないからこそ他人に寄生して繁殖しようとしているのだ。

 びちゃ、びちゃと粘液をぶちまけながら引き剥がされた触手が地面でのたうっている。すっかり裸になったサスケにナルトのチャクラは未だまとわりついていた。肝心な場所が未だこれからだからだ。

「サスケ……」

 まるでベッドの上かのように甘い声で囁かれ、ナルトに両足を持ち上げられる。勃起したままの性器から触手は取り除かれていたが、その更に奥、尻の間には未だ触手が栓をするように埋まっている。

「う……あぁ……」

 羞恥に呻くサスケだが、ナルトはそんなこと構いやしない。

「力、抜いて……今、全部掻きだしてやる」

 ピリピリとした痺れが皮膚に奔る。今までの箇所と同じように、チャクラは隙間から入り込み触手を浮かせていく。そしてそれは直腸の中にも侵入してくる。

「あっ……あぁっ、あっ」

 ビクンビクンと跳ねるサスケの身体を抱きしめながら、ナルトはチャクラを精密にコントロールしていく。身体の内側で奥に逃げようと暴れる触手をナルトのチャクラはしっかりと掴んで引きずり出していく。サスケ自身では引き剥がせなかったそれ。根本が丸くなって抜けないようになっていたそれが少しばかりでも浮くと、ナルトは自らの手で掴み、勢い良く抜いた。

「あぁぁぁぁぁぁぁっ!」

 悲鳴が上がる。衝撃でサスケの性器から色の失われた液体がプシャと出た。それを苦々しく見ながらナルトはまだ手を休めない。ずるずるとチャクラごと引きずり出された触手たちに続いて、オレンジ色に包まれて出てきたのは球状の卵だ。触手に産み付けられたものがサスケの中から排除されていく。

「あ、あぅ、あぁぁぁ……」

 片腕でサスケはナルトの背中にしがみついた。頭がどうにかなってしまいそうなほどの快感だった。間近にあるナルトの顔は苦々しい表情ばかりを浮かべているのに、どうしようもない気持ちよさを味わっている自分をサスケは嫌悪しながらも声を出すのを止められない。やがて腹の中のものが全て外に出されると、膨れていたへその下もいつぶりかに元のかたちを取り戻す。否、前に触れた時よりも脂肪が削げて細くなったかもしれない。痛ましいそこをゆっくりとナルトは撫でてやりながら、意識のはっきりとしていないサスケに優しく口付けをした。

「んっ……」

「これで……全部だろ、サスケ」

「……っは……、すまん、ナルト……」

 呼吸を奪われたことで逆に脳に酸素を行き渡らせようと身体が反応し、サスケの意識は急速に覚醒する。そうして触手に無理やり戻されたチャクラを練り上げ、目に集中させる。見開かれたサスケの万華鏡写輪眼が捉えるのはつい今しがたまでサスケの全身を支配していた触手。嫌悪を露わにサスケが睨みつけたそこから黒炎が発する。天照。視点から発火し対象が燃え尽きるまで消えない炎に触手がのたうち、やがて跡形もなくなった。

 チャクラを消費しふらついたサスケをナルトが支える。

「大丈夫か?」

「ああ……お前のお陰でな……」

 微笑んでみせるサスケにもう死ぬ気などないとわかったナルトは九尾のチャクラをおさめ、ニコッと得意げに笑った。

 立てるか、とナルトが差し出した手を握るものの、しかしサスケは立つことすらままならない。あんな責め苦を味わわされていたのだから仕方がない。ナルトは着てきたコートをサスケの身体に巻いてやると、ふらつく身体を抱きかかえる。

「とりあえず、近くに宿場町があるから、そこで休もう」

「……なると、少し、寝ていいか……」

 腕の中で疲れたように呟くサスケに、任せておけとばかりに頷く。そうすればサスケは安心したようにナルトに身体を預け、瞼を閉じるとすぐに寝息を立て始めた。サスケを起こさないように、しかし最大限の速度を出してナルトは森の中を駆け抜けた。腕の中のサスケがいつもより軽いような気がして、ナルトの眉間に刻まれた皺は未だとれないでいた。

 

 

 宿についてもサスケは起きる気配がなく、そのまま部屋をとって、ナルトはサスケの身体を洗ってやることにした。あちらこちらに触手のなすりつけた粘液が残っている。それだけで腹が立ってそのままにしておくことなんて出来なかった。シャワーで温かい湯をかけてやりながら、改めてサスケの身体を検分する。変な生物はもうどこにもいないが、あちらこちらに拘束や吸引をされた跡が残っていて、あの出来事が現実にあったことなのだと思い知らされる。

「う……うん……っ」

 シャワーの水流が胸にあたれば、サスケは小さく呻きながら身を捩る。熱っぽい吐息と一緒に震えた瞼がゆっくりと開かれていく。

「……悪ィ、起こしちまったな。あのままじゃ気持ち悪いんじゃって思って」

「……いや、すまん……」

 申し訳無さそうにするその頬が赤くなっているのは、決して湯に暖められたせいではないだろう。

 そっとサスケの胸を触ってみる。前よりも柔らかくなっているような気がしてナルトは目眩がした。胸だけではなく、尻も、太股も。痩せたように見えるのにそんな場所だけ肉付きがよくなっている。乳首だって一回りは大きくなってぷっくりと真っ赤に腫れたままだ。思わず触れてしまえばそれだけでサスケは甘い声を押し殺せない。

「あっ、あぁっ」

「サスケ」

「んぅ……っ」

 腕の中で身を捩るサスケの姿勢を変えさせて、今度は尻を洗う。恥ずかしそうに歯を食いしばりながら顔をそむけていてもしかし身体は喜んでいるとしか思えない反応をサスケは示すのだ。肛門だって乳首と同じように真っ赤に腫れて、何も入れていないのが物足りないかのようにひくひくと入り口が動いている。すっかり性感帯として開発されきっている。どれだけの間、あの異形に捕らえられ、サスケの身体は変えられてしまったのだろう。ゆっくりと湯を流しながら、ナルトは入り口に指を埋め込ませる。驚くほどあっさりとサスケの中は指を飲み込んで、もっともっととねだるように締め付けてくる。

「ナルトっ、そ、こ、いい、から……!」

 制するサスケを無視してナルトは指で中を執拗に押し上げた。サスケの性器は触れていないのにすっかり勃起して天を向いている。びくびくと小刻みにサスケの白い身体は震えている。やがてまた色のない液体を吹き出して、サスケの身体はぐったりとシャワーに打たれるだけになった。指を引き抜いても、名残惜しそうに絡みついてくる粘膜に、ナルトは苦々しく舌打ちをする。腹の底にたまった怒りはまだ収まりそうにない。

 敷かれた布団の上に裸のままでサスケを横たえる。服も用意してやらなければいけない、と理解しつつもナルトはその身体を抱かずにはいられなかった。

「ナルト」

 サスケが困ったように窺ってくる。

「今日、何月何日だ?」

 答えればサスケは愕然と目を見開いた。無理もない。サスケがサイの飛ばした伝令用の鳥を受け取らなかったとカカシから聞いたのはもうひと月も前だ。少なくともひと月、サスケは異空間であの化物に弄ばれていたということになるのだから。その時間たっぷりとサスケの身体は触手を飲み込んで悲鳴を上げさせられていたのだろう。

 未だに赤い乳首を親指でかすめるように押すだけで、サスケは甘い声を上げた。どれだけの時間、どんなふうにいじられれば、こんなふうになるまで開発されてしまうのだろう。そう思えばナルトの苛立ちはまた加速し、強い力で、乱暴といっていいほどにサスケを抱いた。再び押し入ってきた指にサスケの身体は敏感に反応を示す。性器は萎えることを忘れたように硬さを持っている。おかしな体液を何度も注入されたのだとサスケは言ったが未だその影響が残っているのだろう。

「あっ、ああっ」

 我慢しきれなくなって指で解すのもそこそこにナルトは勃起した自身を挿入する。本当は解す必要がないほどサスケの中がとろとろになって柔らかくなっていることに気づいていた。受け入れ飲み込むための穴にされているのだと知っていた。それを認めたくなかったのかもしれない。

「あっ、あぁぁぁ、ん、いっ、あぁ……!」

 ゆさゆさと揺さぶる度にサスケの喉から出てくるのは感極まったような声。

「オレよりさ、あのバケモンのほうがヨかった?」

 思わず煽るような言葉を口にしてしまえば、かっとサスケの頬に朱が奔り、同時にうつろだった黒い瞳がきっと鋭さを取り戻す。ナルトが好きなサスケの瞳だ。

「そんなっ、ワケ、あっ、やぁああぁぁぁっ!」

 嬉しくなって腰の動きを激しくするとサスケは言葉もろくに紡げないほど乱された。触手相手にではない。うずまきナルトにだ。

 奥を突いてやりながら、物欲しそうに赤く熟れた乳首に吸いついてみる。舌で転がしながら、歯も立てて、そうすれば次第にじわりと甘い味が口の中に染みてくるのを感じた。口を離して確認してみれば、サスケの乳首から白い液体が滲んでいた。

「や、めろ、そこは……っ!」

 遮る言葉を無視して指でつまみ上げると、プシュ、と吹き出すそれは間違いなく母乳だ。

「……っ」

 今にも泣き出しそうに、サスケは右手で顔を隠して小刻みに震えている。

「こんなに、なっちまった、からだっ……あ!」

 しかしナルトはサスケが何を嘆こうとお構いなしだ。胸に思い切り顔を寄せ、もう一度乳首を吸う。ちゅぱ、ちゅぱ、音を立てて。パンパンに張ったままのサスケの胸を同時に揉んで、搾りだした母乳を吸い上げる。

「おまっ、なにして……! やめ、やめろっ、こんなっ」

「オレってば母ちゃんのおっぱい飲んだことねぇからさ、ちっと憧れてたんだ、こういうの」

「そ、ういう問題じゃ……! んっあぁ、や、で、るぅ、また、でるっ」

 明らかにサスケは感じている反応をする。声を上げて、ナルトに両足でしがみついて、内側はきゅうきゅうと締め付けてくる。もう片方の胸にも、中に溜まった液体を全て搾るように吸い上げる。サスケはひんひんと涙を浮かべて泣きじゃくっている。快感か、羞恥か、そのどちらをも感じながら。

「こんな、こんなっ、オレのからだ、も……、おかしいっ……!」

 途切れ途切れにしか言葉を発せないサスケの乳首からようやく口を離してナルトはしっかりと飲んだことを示すように口元を拭う。

「オレがさ」

 青い瞳がまっすぐにサスケを見下ろす。サスケは息が止まるような心地だった。あまりにもナルトが真剣にこちらを見据え、響く声は低く重かったからだ。

「お前がこんなにされちまって、オレがムカつかねぇわけねぇだろ!」

 サスケの身体を虐めるように抱いてしまうのは怒りをぶつけているからなのだとナルトは告白する。腰の動きがまた再開される。肉が激しくぶつかりあい、衝撃に身体の最奥、その更に向こう側までも突き上げられるかのようだった。

「あっ、あぁっ、あっ!」

 忍界でナルトと唯一並び立つほどの実力を持つ存在。否、ナルトにとっては常に背中を追いかけてきたのがこのうちはサスケという男だ。今もなおサスケの背中は鮮烈で、ナルトの憧れのままでいる。それほど強いと認めたサスケが、こんな風に身体を変えられてしまうまでの長い間、人語も理解できぬ生物の繁殖の道具にされていたなんて、ナルトはそれをしたあの触手生物も、そうされてしまったサスケも、そしてそれを防げなかった自分自身にも怒りを感じていたのだ。

 カカシからの伝令も受け取らず、サスケ側からの報告もなく、どの里からも良くも悪くも目立つサスケを見たという噂の一つも入ってこないこの一ヶ月。どれほど心配しただろうか。

 だというのにナルトはサスケの身体に休息を与えることなく激しく抱いてしまう。

 この身体は自分のものなのだと教えこむように、上書きするように。

 サスケの熱くとろけた内側にたまらず、ナルトは精液をたっぷりとぶちまけた。腕の中のサスケの喉が快感に反る、その白い肌を舐めながら奥へ奥へと更に注ぎこむように腰を押し付ける。

 そうすればサスケも自覚しなおすに違いないのだ。この場所が真に受け入れるべきは、ただひとつなのだと。

 それほどの独占欲を未だサスケに対して抱いていたことに、ナルトは自分のことながら驚いた。

 だがその感情を否定や隠蔽することはしない。本能のまま、サスケにぶつける。そういう風に今までもこれからも接していくのが二人の関係であると確信しているのだ。

 

 

 ようやくサスケを解放し、宿に備え付けの浴衣を着せてやって、二人は並んで布団に入っていた。

「お前の身体の……おかしくなっちまってるとこ、あのわけわかんねぇバケモンの毒が抜けるまで、時間かかるかもしれねぇ。……すぐ、助けられなくて。駆けつけてやれなくて」

 やっぱりお前一人で旅をさせるのは、と後の言葉を紡ごうとしたナルトの唇に、サスケはそっと指先を宛てて制した。

「言うな、それ以上」

「でも、やっぱお前が一ヶ月もあんなめにあってたなんてこと、許せねぇってば……」

「だったら」

 サスケが笑う。黒い瞳と薄紫の瞳。その両方にはっきりとナルトだけを写して。

「お前が抱いてくれよ。これから一ヶ月、毎日」

 そうすれば蹂躙されきった身体もナルトに全部上書きされて、身体の外側も内側も細胞のひとつひとつ全てがナルトのものになるだろう。あのおぞましい時間の記憶を忘れられるだろう。

 無理難題をふっかけたつもりだったサスケだが、次の瞬間に目を見開くことになる。

「いいぜ」

 あまりにもハッキリと言い放たれた、肯定の言葉。サスケは唇から漏れる吐息を抑えられない。それは嬌声などでは決してない、純粋に可笑しくてたまらないという衝動だ。

 この男は無茶なことばかりを宣言し、しかしそれを実行してきてみせたのだ。

「……ウスラトンカチ」

 質の悪い冗談さえ現実に変えてしまう男に、サスケは心の底から感謝した。

2015.11.16

それもこれも真伝がわりとかなりエロかったのがいけないんだ! 性癖ばりばりに詰め込んだ感じです。あとナルトさんならこれくらいやってくれると思います。

Text by hitotonoya.2015
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