緊縛された決闘者!悪夢の快楽地獄!

 

 何の前触れもなく轟音とともに破壊された銀河眼の光子竜とナイトメア・シャーク。息をもつかせぬ熱い決闘は突然に打ち切られ、当のカイトと凌牙さえ困惑の叫びを上げている光景を、遊馬はただ呆然と見ていることしか出来なかった。

「かかったな、天城カイト! 神代凌牙!」

 頭上から響いてきた厭らしい声と同時に、二人のフィールドに召喚されたのは不気味な二体のナンバーズ。カイトのデッキにも凌牙のデッキにも似合わないそれは明らかに異質なものであった。

「残念だがこのデュエル2人ともここで終わりだ!」

 勝ち誇った高笑いをあげながら、闘いの場に突如現れたのは八雲配下のナンバーズ・ハンター、シャドウ。全員が状況を把握する前に、強制召喚されたナンバーズ、No.13 ケインズ・デビルとNo.31 アベルズ・デビルから伸びた鎖が音を立ててカイトと凌牙を絡めとる。逃げる間もなく彼らはナンバーズの懐に抱え込まれ……両腕と腰、脚をがっちりと十字架に磔にされてしまったのである。

 双子のように似た形のナンバーズは向かい合い、処刑台にかけるよう、カイトと凌牙を罠に陥れたのだ。

 ギシギシと音を立て、カイトも凌牙も拘束から抜けようとするがナンバーズはびくともしない。遊馬は思わずDゲイザーを外す。ARヴィジョンのリンクが解除されたはずだというのに、2体のナンバーズの姿はハッキリと確認でき、カイトと凌牙はそれらに囚われているままだった。

「!?」

 不気味なナンバーズの仮面の下、核と思われる球体から細いチューブのような触手がにゅるりと伸び出たのを遊馬は見た。そしてそれは十字架に磔にされ動けないカイトと凌牙のうなじにどすりと突き刺さる。

「がっ……?!」

 痛みに二人は呻く。まるでナンバーズと二人を接続するコードか何かのようだと遊馬は思った。

「なんだっ、コイツは……」

「クソッ、とれねぇ……っ!」

 首を激しく動かしても、四肢の自由を奪われたカイトと凌牙にナンバーズから伸び出た触手を振り払うことは出来ない。二人の首には一本の触手が皮膚の下にまで深々と突き刺さっている。出血はないが、簡単に外れるような状態ではない。

「ハハハハハ! カイト! 神代! お前たちはもうそのナンバーズから逃れることはできない!」

 積み上げられたコンテナの上でシャドウは勝ち誇っている。顔は覆面で隠されているが、その布の下ではおそらく唇が裂けんばかりにつり上がっていることだろう。

「ケインズ・デビルとアベルズ・デビルは対になるナンバーズだ! 互いのデッキにこのカードがあり互いのライフが半分になったとき、フィールドにいるモンスターを全て破壊して強制的に特殊召喚される。そして互いのライフは強制的に1000となり強制的に攻撃が始まる! 次は神代凌牙! 貴様のターンだったな!」

 シャドウの言葉を合図に、凌牙を捕らえているNo.31 アベルズ・デビルから何本もの鎖がカイトに向かって襲い掛かる。それはカイトの身体を激しく鞭打つと思われたのだが、しかし、予想を外れ彼の囚われた身体にぎゅるりと絡みついた。よく見ればそれは鎖ではなく、彼らのうなじに突き刺さった触手と同じような性質のものだった。

「コイツは……!?」

 カイトがその攻撃の意図を把握しかねている間に、触手は無数に分かれカイトの身体中を撫でていく。そして次の瞬間、勢い良く服の中へと潜り込む!

「なっ?!」

 驚いたのはカイトだけではない。正面にいる凌牙も、横で見ている遊馬とアストラルもだ。

 カイトの服はぴったりと身体のラインが出るつくりのものだったため、中に入った触手がどのように動いているのか、布の上からでも見てとれる。あるものは首に絡みつき、あるものは胸に張り付き……そして下半身へ伸びた触手は、カイトの股間、性器にまで絡みつく。

 突然の刺激にカイトは眉を顰めた。性器に絡みついた触手はするするとカイトの敏感な場所を擦っていく。だがそれだけで、得体の知れないもの相手にカイトが性的興奮を感じることなどあるわけがなかった。

 ……普段どおりならば。

「ぐ……っ!!」

 身体中に駆け巡った起こりえるはずのない感覚に、カイトは喉を鳴らして呻く。

 墓標さえ思わせる不気味なナンバーズの触手に弄られているというのに、電撃の奔るような快感をカイトは間違いなく得てしまっていたのである。

 おかしな声が上がりそうになるのをカイトは歯を食いしばり耐える。

 そして異変が起こったのは、カイトだけではなかった。

「うあっ……?!」

 拘束されているとはいえ、ナンバーズからの攻撃を何も受けていないはずの……むしろカイトに攻撃を加えているはずの凌牙の身体が、鎖をジャラと鳴らしてビクンと跳ねたのだ。その声は上ずり、痛みを感じているというよりもむしろ……。

「何だよッ、何が起こってるんだよ!?」

 尋常じゃない様子の二人に、わけがわからず遊馬は叫ぶ。

「おっと言うのを忘れていたが、ケインズ・デビルとアベルズ・デビルが互いを攻撃したとき、この2体は破壊されず互いのプレイヤーは攻撃力分のダメージを受ける。しかもそのフィールドはデュエルでのダメージを快楽に変える!」

「はぁ!? 何言ってんだよ!! わけわかんねーよ!!」

 思わず遊馬はシャドウに怒号を放つが、コンテナの上で覆面の男は笑うばかりだ。

「ククク、まあ見ていろ……あの2人が悶える様を!」

「カイト! シャーク!!」

 シャドウが何を企んでいるのかわからないまま、遊馬はピンチに陥っているであろうカイトと凌牙の名を叫ぶ。だが2人から返事は帰ってこない。

「シャドウ……貴様……ッ」

 カイトが鋭い眼光をシャドウに向ける。だが既に息は荒く、頬が赤い今では何の効果もない。服の下でうねる触手が、いくらかの布を既に引き裂いて、白い肌が晒されている。そこから覗いた触手は絶えず蠢いてカイトの身体を蹂躙し続けている。タイツの下で股間が盛り上がっているのは、触手が密集しているからだけではないだろう。

「カイト……お前の神経は既にケインズ・デビルの支配下にある」

 カイトのうなじに突き刺さった、ケインズ・デビルの核からの触手を眺めシャドウは目を細める。

「全ての刺激が想像を絶する快楽に変換されている状態でどこまで耐えられるかな?」

 シャドウの言うとおり、カイトは自分の身体に齎される圧倒的な快楽を必死に耐えていた。おそらく首筋に刺さったケインズ・デビルの触手が、カイトの身体におかしな影響を与えているのだろう。ナンバーズの支配を受けず闘うためのフォトン・モードとはいえ、それはあくまでデュエルでしもべとして扱うことを目的として開発されたものである。この状態は想定外だ。

 にわかには信じられないが、既にナンバーズはARヴィジョンでなく実体としてこの空間に存在している。カイトと凌牙の身体が鎖でがっちりと囚われてしまっていることと、そして遊馬が既にDゲイザーを外しているというのにこの事態を認識しているということがそれを証明している。

 実体化したナンバーズの邪悪な力は抵抗が叶わぬほどに強力だ。既にうなじの皮膚を突き破られ、肉を貫かれた痛みなどどこかへ消し飛んでいる。じゃらりと鳴る鎖に締め付けられた手首や脚へのそれもまた同じだ。カイトが感じるのは身体中を這う触手に撫でられる快楽。ただそれだけ。

 性器を扱き、裏筋を撫でられ……先端には細い触手がうねるように刺激を与えていく。自慰をしたことがないわけではなかったが、ずっとハルトとデュエルのことだけを考えてきたカイトには強すぎる刺激である。それでもカイトは高い矜持からか、声を上げることも、身体を反らして悶えることもせず耐え続けていた。

「ふむ……なかなかしぶといな、カイト。未だフォトン・モードも解けないとは……流石ナンバーズ・ハンター筆頭なだけはある、か」

 シャドウは舌を打つ。そして視線をカイトの向かいに聳える、アベルズ・デビルに向けると……機嫌を良くしたように指でそちらを指した。カイトに見ろと言わんばかりに。

「本来ならば『ああなる』ほどの快楽を受けているというのに。意地を張っても辛いだけだぞ?」

「なっ……?!」

 カイトはシャドウの指の指した方向を見て、驚きの声を上げた。そこには先程までは、カイトに敵意をむき出しにした獰猛な鮫のような表情をした神代凌牙がいたはずだった。だが。

「うあっ、あっ、なんだよっ、コレっ、おかしっ……んんっ!」

「凌牙?!」

 瑠那の悲鳴が響く。カイトの向かいでアベルズ・デビルに磔にされた凌牙が、じゃらじゃらと鎖を鳴らして身体を跳ねさせていたのだ。

 凌牙の身体にはカイトとは違い、触手は巻きついていない。今は凌牙のバトルフェイズ。アベルズ・デビルの攻撃中である。それなのに凌牙の様子は明らかに、ただモンスターに緊縛されているものとは違っていた。

 カイトからでも彼の顔が真っ赤に染まっていることが分かる。滲んだ汗で髪が頬に貼り付いている。好戦的にギラついていたはずの青い瞳は熱に浮かされ涙が滲み、見る影もない。

「ひっ、ああっ、ああんっ!」

 凌牙は磔台に後頭部をこすりつけるようにして喉を反らし、高い声を響かせている。びくびくと指先までを快感に震えさせ悶える凌牙の制服のズボンの下は不自然に盛り上がっている。……アベルズ・デビルの身体から伸びる触手は、カイトにのみ向かっており、凌牙の身体にはうなじに突き刺さった一本の他は絡まっていない。

 つまりそれは、凌牙の性器が何もされていないのに勃起していることを示している。そして何もされていないはずなのに、凌牙はあられもない声で喘いでいる。カイトは目を疑った。何が起きているのか分からなかった。

「言っただろう! ケインズ・デビルとアベルズ・デビルは対のナンバーズ。お前たちはその支配下にある。つまり……互いに受けた快楽は相手も受けることになる! カイト、お前が受けているのと同じものを、神代も味わっているのだ」

 おそらくカイトのうなじにも突き刺さっている触手。それがカイトの身体に与えられているものと同じだけの快楽を凌牙に伝えているのだろう。カイトにはまだ耐えられた快楽だが、年下の凌牙の身体には耐え難いものだったのだろう。気味の悪い触手に絡まれることさえなくただ注がれる純粋な快楽に、すっかり翻弄されてしまっている。そうして凌牙をそこまで狂わせているのと同じ物が、今はギリギリのラインで踏みとどまっているとはいえ、自分の身体にも注がれていることを考えて、カイトはぞっとした。

「なんだよコレ……こんなことって、あるのかよ……!」

 外野で見ていた遊馬も、磔にされたカイトと凌牙が陵辱される姿から目が離せなくなっていた。息を飲む。ナンバーズとはこんな力をも秘めているのか。頬を嫌な汗が伝っていく。

『遊馬』

 遊馬が発したものよりもずっと震えた声で名前を呼ばれる。耳のすぐ近くで響いたそれは当然、相棒であるアストラルのもの。

『これが……こんなものが、私の記憶の一部だというのか……?』

 表情こそ乏しいが、その様子は不安と恐怖に押しつぶされそうなものであった。こんなおぞましい行為で、白熱していたデュエルを中断したナンバーズが自分の一部だなんて誰もが認めたくないだろう。それは遊馬も同じである。

「……違ぇよ。ナンバーズは……持ち主によって善にも悪にもなる。そう言ったのはお前じゃねえか、アストラル。……あれはアイツの悪意だ。お前のもんなんかじゃ、絶対にねぇ!」

 言いながら遊馬はシャドウを睨む。その拳も、膝も、がたがたと震えが止まらなかった。

「おいお前ッ! なんでこんなことしやがるんだ! 正々堂々デュエルで勝負したらどうなんだよッ!」

 ありったけの気力を振り絞って遊馬は叫ぶ。だがシャドウは冷たい眼差しで遊馬を見下す。

「オレはナンバーズを全て回収するためなら何でもする。カイトと神代はじきに快楽に溺れ……デュエリストとして使いものにならなくなるだろう。そうすればヤツらにナンバーズなど無用の長物。そこをオレが全て頂くというわけだ」

「そんな卑怯なマネ……っ!」

 今すぐ走ってシャドウを殴りに行ってやりたいと遊馬は思った。だが足が震えて動かない。幼くまだ性体験に乏しい遊馬には、今目の前で繰り広げられている光景は強烈すぎる。

「さあカイト、こいつはどうだ?」

 遊馬を無視して、シャドウはカイトに視線を戻す。アベルズ・デビルの触手がカイトの服の下で一斉にうねる。既にカイトの性器ははちきれんばかりに勃起し先走りを滲ませ白いタイツに染みを作っている。いくらカイトが鉄の意思を持って快楽に耐えていても、そこを制御することは不可能だった。

「くぅっ……!」

 うごめく触手がタイツをびりびりと破いていく。同時にケインズ・デビルによる脚の拘束が緩まり、アベルズ・デビルによって脚を開かされる。まさか、とカイトが思うよりも先に、触手の群れはカイトの脚を伝い、支え、そして尻に向かい伸びていた。

「なっ、やっ……そんな場所に、何をっ!」

「決まっているだろう! 貴様に更なる快楽を叩きこんでやるのだ。行け、アベルズ・デビルよ!」

 ルール上は凌牙のモンスターであるはずのアベルズ・デビルがシャドウの命令に従いカイトへ伸ばす触手を更に増やしていく。尻を強引に割り開かれ、入り口に群がる触手に、カイトは抵抗しようと身体を捩るが、鎖と触手で自由は完全に奪われていた。

「―――ッアアアアァァ!!」

 慣らすことさえせず、遠慮なしにアベルズ・デビルの触手はカイトを貫く。ようやくカイトが上げた絶叫に、シャドウはにぃと満足そうに目を細めた。

 準備なしの挿入は激痛を生むはずだとカイトは身構えていた。だが実際は、ケインズ・デビルに神経が支配されたことにより、カイトが味わったのはただ強烈な快楽、それだけであった。肛門を無数の触手で貫かれ、内側を這い回られているという状態を何の抵抗もなく受け入れ、快楽をのみを貪っている自身の身体は、カイトにとってどれだけ絶望的だったろうか。

「うあっ、ああああっ!」

 白く明滅する視界の向こう側で凌牙も身体を捩らせ快楽に悶えている。あんな風にはなってはならないというプライドと、彼のように我慢を忘れて好きなように叫ぶことが出来たらという誘惑がカイトを葛藤させる。

 そんな中……にゅるりと細い触手が、カイトの性器の尿道に這い入る。

「っああっ!?」

 既にあちこちが破かれ服としての機能を失った布の切れ目から、カイトはその光景を目撃してしまった。全身の穴という穴に触手が蠢いていく。耳に聞こえるのは自身と凌牙の嬌声、そして触手の発するぐちゅぐちゅという濡れた音ばかり。

 そうして後孔に挿入された触手がカイトの前立腺を実に的確に押し上げるのと、尿道の触手が勢い良く抜かれるのが同時に行われれば、カイトはもう限界を迎えるしかなかった。

「っア……!!」

 シュン、と小気味良い音を立ててカイトのフォトン・モードが解除される。白い決闘装束は元の黒い布に戻る。

 ARヴィジョンのリンクがとけても、ケインズ・デビルはカイトを捕らえ、凌牙を拘束したアベルズ・デビルの触手が身体に絡みつく感触は消えることがなかった。

「あ……っうあ……」

 ぽたぽたと顎を汗が伝う。全身の筋肉が弛緩するような感覚に包まれる。だがナンバーズの拘束と触手がカイトの身体を支えて離さない。

 性器からは確かに、白い精液がどくどくと放たれていた。

「無様だなぁ、カイト!」

 勝ち誇ったシャドウの声が遠くで聞こえる。そこでようやく、アベルズ・デビルの触手は満足したようにカイトの身体から離れていく。凌牙のバトルフェイズが終了したのだろう。

 触手を収納したアベルズ・デビルの元で、凌牙は目を閉じてかっくりと項垂れていた。ナンバーズの核に繋がれた触手がよく見える。肩が上下し、時折痙攣のように身体が跳ねている。

「神代の方は空イキしたようだな」

 未だ一糸乱れぬズボンの下で、凌牙の性器は存在を主張したままだ。

「さあ、次はお前のターンだ、カイト!」

 ケインズ・デビルが臨戦態勢をとるように、ズズと音を立てて前に出る。

 既に散々触手に乱され、フォトン・モードさえ解けてしまったカイトは、凌牙が味わわされた快楽が自らにも襲ってくることを覚悟し瞼をきつく閉じた。凌牙のほうも、何もされていないのに快楽だけ与えられイかされまでした身体に、今度はケインズ・デビルの触手という実体が伴った快楽が追い打ちをかけるのだ。そんなことをされれば、彼がどうなってしまうのか想像は容易い。

『遊馬っ、どうにかして、我々が止めなければ……!』

 アストラルが叫ぶ。

「わかってるっ!」

 だが、遊馬は。

「分かってるけどっ……どうしよう、アストラル……俺、腰ぬけちまって……立てねぇよ……!」

 大きな赤い瞳に涙を浮かべて、遊馬はコンクリートの地面に座り込んでしまっていた。もじもじと内股を擦り合わせ、両手は股間に伸びている。遊馬もまた……カイトと凌牙の乱れる様を見て、興奮し、勃起してしまっていたのだ。

 少年たちに襲いかかる悪夢の宴は、続く――。

 

2013.05.22

シャドウさんがあまりにもモブレイパーのような感じなんで土下座して謝りたいですが、こういうえろ同人誌の発行はまだですか???

Text by hitotonoya.2013
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