マリンドライブ

 開かれた扉の中に案内されるまま足を踏み入れれば、すぐに目に飛び込んできたのはガラスの向こう側に広がる青い水平線だった。抱えていた身長ほどはあるサメのぬいぐるみをベッドに寝かせて、凌牙は吸い込まれるように窓辺に駆け寄る。季節はもうすっかり秋めいて、肌寒さも覚える頃だったけれど太陽の光を受けて海は輝き、波間にはウェットスーツを着たサーファーの姿も見受けられた。

「いい眺めだろ」

 背後でくつくつと笑う声が聞こえて振り向けば、IVが着ていたスーツをくつろげているところだった。

「昨日はサンセットがなかなかだったぜ。日本の海も悪くねぇな」

 ベッドの淵に腰掛けて、丁寧に置かれたぬいぐるみをぽんぽんと叩きながら言うIVに、凌牙は今更ながら恥ずかしくなって、ぷいと顔を逸らしてぎゅっと拳を握り締める。それでも、凌牙を見つめてくるサメのつぶらな瞳の愛らしさは、IVへ覚える悔しさよりも遥かに勝ってしまうのだ。

 

 

 事は少々遡る。

 ハートランドシティからモノレールに揺られて、凌牙は田舎の水族館を訪れていた。凌牙の海洋生物好きは彼のデッキを見れば誰でも分かることだが、そんな彼の趣味は期待に漏れず水族館巡りである。未だ中学生ということもあり、なかなか遠方の水族館には行く事が出来ず、普段はハートランドシティ内の水族館ばかりを巡っている凌牙だったが、今回連休を利用して、遠方(といっても日帰りできる範囲だが)の水族館を訪れたのである。

 巨大な水槽の中を泳ぐ様々な地域の様々な生物たちを思う存分に堪能した後、凌牙が必ず立ち寄るのが売店である。並べられたキーホルダーやら、アクセサリー、文房具を凌牙は子どものように目を輝かせて物色する。もうひとつの凌牙の趣味は、サメのグッズ収集なのである。この水族館にはとくにサメのグッズが豊富にあると一部界隈では有名で、だから凌牙は連休を利用した貴重な遠征に、迷うことなくここを選んだのだ。

 水族館オリジナルのグッズを財布と相談しながら買い物カゴに入れる。今月は新しいカードパックも発売するため、取捨選択はどうしても必要になってしまう。そうしてようやく買うものを決めて、レジに向かったときだった。

「……!」

 レジの奥に置かれた、凌牙の身長ほどはあるサメの巨大なぬいぐるみを見つけたのは。

 そのぬいぐるみの大きさは今まで凌牙が見たこともないほどのもので、遠くから見ても忠実に表現されたサメのボディラインに肌の色、今にも泳ぎだしそうな迫力に凌牙はすっかり目を奪われた。ガラス玉でできたつぶらな瞳が凌牙に訴えかけてくるのだ。一緒に連れて行って、と。

 ごくりと生唾を飲み込んだ凌牙もまた、そのぬいぐるみに一目惚れしてしまったのかもしれない。視線を少しずらすと、サメの腹に紙の値札がはりつけてある。いくらまでなら買えるだろうか。財布の中身を確認して、今手にしている全てのカゴの中身を諦める決意までしてから、値札に書かれた数字を確認する。

 ……そこに書かれていた数字のゼロの数に、凌牙は目を見開き、そしてがっくりと肩を落とした。

 とてもじゃないが凌牙が手に出せる値段ではなかった。小遣いを何年ためれば手が届くだろうか、考えただけで頭が痛くなる。むしろこの金額を出せば本物のサメの小さい種類は買えてしまうのではないだろうか。諦めるしか選択肢はない。それでも、欲しい、という気持ちは凌牙の中で変わることはなく、むしろ、どくん、どくんと心臓が脈打つ度に高まり続けている。ぬいぐるみの瞳と目があって離れない。

 その場で凌牙が長い間立ち尽くしていると、すっ、と凌牙の横を横切る陰があった。

 凌牙よりも背の高い、サングラスと帽子を被った少々怪しげな男はレジのカウンターに慣れたふうにカードを置くと、すっと凌牙の恋したぬいぐるみを指さしたのだ。

「そいつを下さい。一括払いで」

 迷いなく言う声に凌牙が驚きと羨望を抱いたとき、男がふいと振り返る。

 外されたサングラスの奥にあった顔は、凌牙のとてもよく見慣れた、赤い瞳と頬に奔る十字傷を持っていたのである。

「なっ」

 叫びかけた凌牙をIVはしっ、と自分の唇に人差し指をあててみせて制する。ふっと意地悪げに笑って、会計を済ませると、買ったぬいぐるみをそのまま凌牙に放り投げてきたのだ。

「欲しかったんだろ?」

 小声で笑い混じりに囁かれる。突然のIVからのプレゼントに、凌牙は何もかもを忘れて、ただ驚くままにそのぬいぐるみをぎゅっと抱きしめてしまった。

 IVがどうしてこんな場所にいたのかというと、水族館の客寄せイベントでデュエルショーがあったということだった。

 仕事を終えて、折角だからと水族館内を見て回っていたところ、物欲しそうにぬいぐるみを見つめる凌牙の姿を見つけた、ということだったらしい。受付で配布されているイベントプログラムを見てみれば、この連休の限定イベントとしてプロデュエリストによるショーの開催が記載されていて、IVの名前も載っていたのだが、サメのことしか頭になかった凌牙はイベントの有無の確認を怠っていたのだ。

「アシカとデュエルなんかしたのか……」

 凌牙の声が少し羨ましげな響きになってしまったのに、IVは引いていた。

「当然勝ったけどな。どっかの凶暴なサメと違って、上品でおとなしいデュエルだったからよ」

 IVの言うサメとは凌牙のことだろう。

「一人で来たのか?」

 訊かれて、凌牙はぬいぐるみを抱いたままぶっきらぼうに答える。

「……いいだろ、別に」

「寂しいヤツめ。だが残念なことに俺も今日は一人でね」

 肩に手を置くと、IVはそのまま凌牙を押す。

「そいつを買ってやったお礼をしてもらわなきゃな? というわけで、俺に付き合ってもらおうか」

 片手では数えられない桁の金額を凌牙のために躊躇いもなく払っていったIVに、凌牙はつい抱いてしまった感謝の気持ちを忘れることは出来なかったのである。……断れば、このぬいぐるみを没収されてしまうかもしれないという恐怖も、当然。

 

 

 IVの出した条件は一緒にホテルに泊まることだった。IVの帰りは明日の予定で、昨日からこの海の見えるホテルに泊まっているらしい。都会の高級ホテルほどの豪奢さやサービスはないが、静かで落ち着いた雰囲気が、仕事中の疲れを癒すにはぴったりだと満足気に呟いていた。

 極東デュエルチャンピオンとして、芸能活動じみたことにまで手を伸ばしているIVがそこまで言うとは、と凌牙は驚きながらも、しかしこの部屋からの展望を見てしまえば納得せざるをえないかもしれない。海に面した角部屋は二面がガラス張りで広い海が本当に綺麗に見えるのだ。

 視界いっぱいに広がる、海。海。海。水平線の奥のほう、小さく船が動いているのが見える。穏やかな海を眺めているのは、水族館で魚たちを見るのとはまた違う魅力と楽しみがあった。時間を忘れて凌牙が没頭していると、背中のほうから手が伸びてきて、ぎゅっと身体を抱きしめられた。そんなことをしてくるのはもちろん、IVしかいない。

「なんだよ、いきなり」

 IVを全く構わないですっかり海に夢中になってしまっていたので、機嫌を悪くしたのかもしれないと凌牙は思った。三つ年上で、プロデュエリストとして立派に活動しているように見えるIVが、実はかなりの甘えん坊気質だと知っている人物は少ない。

 ところが凌牙の予想は少しばかり外れていた。凌牙の肩に顔を埋めたIVは何故か納得したように言ってくる。

「やっぱりお前、海似合うな」

「は? いきなり何言ってんだお前」

 うんうんと感嘆したように頷いているIVに、凌牙は間抜けと言ってもいいような声を上げてしまう。

「昨日からここに来てるが、海やら水族館やらをずっと見てるだろ? その度にお前のことばっかり頭に浮かんじまうわけだ。お前のデッキにこいつみたいなやついたなーとか、お前のデュエルしてるときの顔とか、声とか、立ち振る舞いだとか、目の色とかな……」

 笑いながらIVは頬にちゅっと音を立ててキスを落としてくる。

「今度来るときはお前も連れてきてやろうかなと思ってたとこだが……まさか一人であんなとこで、あんなもんにひっかかって突っ立ってるなんて思いもしなかったぜ!」

「あんなもんって言うな」

 IVが未だ続けるキスを止めることもせず、凌牙はサメのぬいぐるみを侮辱したことに怒りを顕にする。しかしIVに見られてしまったのは今思い返してみればたいへん恥ずかしい。弱みを握られてしまったような気分だった。

「ほんと、神様に感謝したくなる偶然だぜ……」

「んっ」

 敏感な場所に触れられて、凌牙は小さく声をあげた。いつの間にかIVはキスだけでは飽きたらず、服の中に手を突っ込んで、凌牙の敏感な場所を弄っていたのである。

「おいっ……どこ触って」

「お前見てたら興奮してきた」

「はっ?!」

 この穏やかな海を前にしてこの男は何を言っているのか。だがしかしまるで全然IVは手を止めないばかりか凌牙を後ろからがっしりと抱え込んで放さない。

「久しぶりの再会なんだ、テメェも溜まってんだろ」

「誰が……っ」

「ん? つまり浮気して発散させてたってことか? なら、そのイケナイ身体にお仕置きしないとなあ」

 耳朶を食む唇の柔らかさに、皮膚をくすぐる熱い吐息。きゅ、と乳首を摘まれればびくんと身体が跳ね、下半身に言いようのない熱が篭っていくのを凌牙は感じる。完全にスイッチが入っているIVに、凌牙は毎度のことだが、呆れながらもすっかり流されて、身を委ねてしまうのだ。

「ん……ふ、ぅ……」

 背中から抱え込まれた格好のまま、ふたりはねっとりと舌と舌を絡ませて、唾液を交換しあうキスを交わす。IVはキスが上手い。凌牙はそれだけで腰が抜けてしまいそうになるのを、いつも耐えなければならないほどに。

 凌牙のジャケットを、同時に肌を愛撫しながらIVは脱がせていく。ぱさりと床に落とされる服の上に、今度は抜かれたベルトが落ちる。ズボンと下着と肌の間にIVの指が入ってくるときになって、凌牙はようやく自分の置かれている状態に気づいた。

「IV」

「ん?」

 うなじに舌を這わせながら曖昧な返事で誤魔化して、行為を止める様子の更々ないIVに凌牙は焦る。

「ベッド……行かないのか?」

 今にも凌牙のズボンごと下着を下ろしてしまいそうなIVの腕を必死に押さえて訴える。今は買って貰ったばかりのサメのぬいぐるみが横たわっているが、一人で眠るには広すぎるベッドがこの部屋には置かれている。凌牙はてっきり、セックスをするとしたらそこでするのだと思っていたのだ。なのに、こんな、窓際で、既に凌牙はここまで乱されてしまっている。

「ベッドは凌牙のカワイイサメさんがおねんね中だろ? 俺たちが邪魔しちゃいけねぇよなぁ」

 くつくつと笑って、IVは凌牙の手首を掴んで持ち上げると、目の前にあったガラス窓に手をつかせた。ぐい、と腰を引かれて尻を突き出すような格好にされて、挙句にズボンまで下ろされてしまえばもう凌牙の羞恥は限界に達する。

「なっ……おい、こんなとこで、する気か?!」

「興奮するだろ?」

 言いながらIVの掌は既に凌牙の股間を包み込むように弄っている。そうされてしまえば、キスやら愛撫やらで蕩けさせられた身体はすぐに反応してしまう。凌牙の眼前、隅々まで磨かれて透明な窓の向こう側には穏やかな海が広がっている。まるで外で、何の陰にも隠れることなくしているような気分になる。

「いやだっ、こんなとこじゃ、誰かに、見られたら」

「見られねぇよ、海しかねぇだろ」

「でもっ」

「魚もここまでは見れねぇよ」

「そうじゃ、なくてっ」

「つべこべうっせぇ」

 口を塞ぐようにIVの指が凌牙の口内に突っ込まれ、内壁を撫で、舌を摘んで弄ぶ。

「んっ」

 溢れた唾液がIVの指を濡らしていく。IVのもう片方の手は凌牙を快楽に溺れさせようと、輪をつくり性器にくぐらせて上下に扱いている。

「くっ……ふ、ぁ……」

 がくがくと震える足腰を支えようと、ガラス窓についた手に力が篭る。開かされた口から垂れた唾液が顎を伝い流れていく。IVは凌牙の身体をよく知っている。どこをどうすれば気持ちよくなるのか、凌牙が溺れていくのか、全てを分かっている。元々彼に開発された身体は、抱かれれば時折凌牙自身がコントロールすることすら叶わなくなる。こんな状況に置かれて、凌牙はIVの言うとおり興奮してしまっているのだから。

 性器はすっかり勃起して、窓の外を向くように先走りを垂らしている。誰かに見えてしまっている可能性だってなくはないのに、凌牙はそのことにすら、背徳的な興奮をおぼえてしまっているのだ。

 凌牙の瞳がとろけきって、涙すら滲ませはじめた様子はガラス窓に映り込む。IVはそれを確認すると十分に唾液が絡まり濡れた指を凌牙の口から抜き取り、尻の割れ目につうとなぞらせる。ひくひくとうごめく穴にたどりつくと、悪戯めかしてとんとんと指先で叩いてみせられる。

「んぁっ……」

「欲しかったんだろ?」

 水族館のショップでサメのぬいぐるみを買ってくれたときと同じようにIVは言って、凌牙の内側に指を入れていく。喜びに身体が跳ね、きゅうと指を締め付け奥へと誘導するように腸壁が動く。

「ふっ……ん……ふぉ、ぉ」

 ぐちぐちと湿った水音と、眼前に広がる海の、同じ液体だというのにかけ離れすぎているほどのギャップを凌牙は頭の中で処理しきれない。

 敏感な場所を押し上げられ、凌牙は一層尻を突き出す格好になる。ずるりとガラスの上をずり落ちそうになる掌に必死に力を篭めて身体を支えるが、最早IVが腰を抱えていてくれなければ、すぐにでも崩れ落ちてしまいそうだった。

「も……いい、から……早く……来い、よぉ……っ」

 精一杯の強がりで、余裕ぶった言葉を選ぶが凌牙の顔は真っ赤で、唾液と涙で既にぐしゃぐしゃになっている。普段とは違う特異な状況への緊張と高揚がここまで凌牙を乱すのだ。

「ああ、俺も今そうしようと思ってたところだ」

 対するIVの方もはじめから言っていた通り本当に興奮していたのだろう、凌牙が愛撫しなくとも、既に彼の性器も十分に勃起しており、指が抜かれるのと入れ替わりに最奥への入り口に先端が宛てがわれる。

「ほら、たっぷりサービスしてやるぜ!」

「あぁっ!」

 すぷりと遠慮無く入ってくるIVの性器の感覚に凌牙は甘い声を上げてしまう。きゅんきゅんと締め付ける内壁は愛おしそうにIVを包み込んで離さない。

 久々に会うことができた、仕事で世界中を飛び回って忙しい恋人との逢瀬なのだ。……当たり前の反応、なのかもしれない。

「んんっ、はっ、ふぉおっ……」

「すっげぇ締め付けだな凌牙。そんなに俺が恋しかったっつーことは、浮気はしてねぇようだな。安心したぜ」

「当たり前、だろっ……んっ」

 ぺちぺちとからかうように凌牙の尻を軽く叩いてIVは笑う。腰を激しく動かしながら、凌牙のうなじに吸い付いてくる。凌牙はもう眼前についた手を離さないようにするのに精一杯で、振り返ることもできなかったが、ガラスに映るIVの表情が、朧にうつった赤い眼が、艶を帯びているのをみとめることが出来ただけで満足だった。ざざん、ざざんと脳裏に打ち寄せる怒涛のような快楽。眼前に広がっていたはずの穏やかな海の光景がその白い波濤に塗りつぶされていく。

「あっ、やっ……あ、も……、イく……っ」

「いいぜ、ほら、綺麗な海に向かってブチ撒けろよ、凌牙」

 促されるように突かれれば、凌牙はあっさりと精を放つ。勢い良く飛び散った白濁はいくらか窓にまでこびりつく。ほぼ同時に凌牙の内側にもIVの精液が注がれていく。背中にかかる熱い吐息と、IVの髪の毛がくすぐったかった。

 少々歪んだ性癖が玉に瑕のIVだが、それを受け止められるのも自分だけだと凌牙は思っている。結局こういう特殊なプレイに散々付き合わされて、それに感じて、IVと同じように興奮してしまう自分の性癖も十分に歪められてしまったのかもしれないと、凌牙は何事もなかったかのように変わらぬ広大な海を見ながら自嘲するのだった。

 

 

「お前やっぱり、ほんと海似合うな」

 身体を清め、サメのぬいぐるみを抱き枕にベッドに横になっていると、背中あわせに同じベッドに横になっているIVが思い出したように呟いた。IVは眠るときは裸である。凌牙が下くらい穿けと何度も訴えたおかげか今はズボンだけは穿いてくれるようになったが、それでも直に触れる背中の肌の感覚には、むず痒さを覚えてしまう。

「だからなんだよ」

「ここの景色もいいっちゃいいんだが、海を外から見るより海の中でお前を抱いたほうが楽しそうだ。海中で悶えるお前の姿はさぞかし愉快で綺麗だろうなぁ」

 ……凌牙の抱いた感覚など全て吹き飛ばしてしまうような発言内容。思わずぬいぐるみを手放して、凌牙はがばりとベッドから起き上がる。

「はぁ?!」

 ごろんとタイミングよくIVが寝返りをうつ。にっと唇は笑みの形に歪んでいる。嗜虐趣味を隠さない顔だ。

「いっそ水族館でやるか、あそこなら海中っぽいしな。明日でも貸し切るか」

「何馬鹿なこと言ってやがる!」

 凌牙がIVの肩をぽかぽかと叩いて叫べば、IVは「流石に明日は無理か……」なんて的はずれなことを反省し始める。

「じゃあこのホテルのプールを貸し切るか。そんで水中プレイだな。海とはちょっと違うが、雰囲気は出るだろ」

「今はそんな時期じゃねぇだろうが!!」

「じゃあ風呂だな。露天風呂なんて日本らしくて風流じゃねぇか。俺は結構好きだぜあれ」

「いい加減にしやがれっ!!」

「ははっ、暴力はいけませんよぉ凌牙」

 そろそろ本気で殴ってやろうかと考えながらも、しかし、傍らで寝るサメのぬいぐるみのつぶらな瞳を見てしまえば、それをプレゼントしてくれた恋人に、せめて今日ばかりは下手なことを出来ないと凌牙は思うのだった。

 

2012.11.26

某水族館行って盛り上がった話です。いいやつでも性癖に難あるIVさん大好きだ!!!

Text by hitotonoya.2012
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